前回の記事では海事代理士試験の内容を紹介しましたが、今回は司法書士とのダブルライセンスの対象として、よりオーソドックスな行政書士の試験の内容の紹介です。
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合格していざ勤務司法書士(あるいは開業司法書士)となってしまえば、択一の知識は薄れるうえ、学習時間の捻出は至難となりますので、余力のある受験生時代に行政書士資格を取得しておくことをお薦めします。
願書受付期間・試験日
受験願書・試験案内の配布:平成29年8月7日(月)~平成29年9月8日(金
試験日:平成29年11月12日(日)午後1時~午後4時
合格発表:平成30年1月31日(水)
なお、司法書士試験と異なり、行政書士試験はインターネットでの申込が可能です。
行政書士の仕事内容、司法書士業務とのリンク
司法書士が法務省管轄の国家資格であり、裁判所・法務局への手続が主たる業務となる一方、行政書士は総務省管轄であり、官公署への手続が主たる業務となります。官公署とは、省庁、県庁、市・区役所、警察署等を指します。許認可に係るものが大半を占め、具体的には、飲食店営業許可手続き、旅行業の登録等があります。司法書士と行政書士を兼業していれば、場合によっては法人設立手続と同時にこれらの許認可申請も受注できるので顧客辺りの単価を上げることができるでしょう。
行政書士の試験の内容(平成28年度)
行政書士試験と司法書士試験との比較
司法書士試験と異なって、行政書士試験は相対評価であり、60%程度の得点を取れれば合格点に達します。
合格者数と合格率の推移
相対評価ゆえに、合格率はその年によって変動があります。しかし、ここ近年の合格率は10%前後で落ち着いています。
行政書士の試験の科目
行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題)
・憲法
・行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)
・民法
・商法
・基礎法学
行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14題)
・政治・経済・社会
・情報通信・個人情報保護
・文章理解
行政書士試験科目の配点とその配点割合
試験科目の得点比重において行政法が4割弱を占めます。司法書士試験学習者にとってはこの行政法をいかに攻略するかが鍵となるでしょう。
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行政書士の勉強方法
民法・商法
司法書士試験の学習をある程度仕上げていれば、民法・商法は過去問を一度解く程度でよいでしょう。民法は40字記述があるので、その問題形式に慣れておきましょう。
憲法
憲法は、判例だけでなく学説の対立も踏まえて学習してきた方であればそのまま過去問に取り組めばよいでしょう。判例と過去問を押さえていたレベルであれば、基本テキストでの学習が必要となります。
行政法
行政手続法:条文を押さえる
行政不服審査法:審査請求のイメージを膨らます。条文を押さえる
行政事件訴訟法:民事訴訟法との比較で覚えていく
国家賠償法:主要な判例を押さえる
地方自治法:範囲が広いので過去問掲載箇所のみ押さえる
基礎法学
基礎法学は出題が2問しかなく、法令を学ぶ上での基礎知識であって司法書士試験の学習で自然と涵養されているものなので、取り分けて学習するほどでもありません。過去問を一度解けば十分でしょう。
一般知識
政治経済社会
大学受験の政治経済レベルの問題です。テキストを一読して知識を呼び起こしておきましょう。
情報通信・個人情報保護
情報通信は、ネットリテラシーが高ければすんなりと知識が入っていきやすい科目ですが、そうでなければ苦労するでしょう。個人情報保護は、起業勤めしていれば多くが受けるであろうPマークテストと似ています。範囲が狭く得点源にしやすい科目なのでしっかり勉強すべき科目です。
文章理解
特に対策は不要です。過去問で解き方を確認しておきましょう。
行政書士の受験願書請求の仕方
願書は窓口あるいは郵送での請求ができます。配布窓口は全国の県庁舎や行政書士会、また、都市圏の一部ジュンク堂書店や紀伊國屋書店でも配布されています。詳しくはこちらのページでご確認ください。
申込は、郵送あるいはインターネットで可能です。受付期間はともに、平成29年8月7日(月)から平成29年9月8日(金)までです。
まとめ
すでに司法書士試験のインプットを大方終えている方はぜひ狙ってみてください。司法書士資格試験までに、他資格に合格しておけば自信もつきますし、精神的な余裕をもって臨めるようにもなります。