司法書士になる!

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司法書士試験に合格せずに司法書士になる!

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司法書士試験に合格せずに司法書士になるとは言っても、無資格で勝手に司法書士と名乗りを上げるわけではありません。今回、紹介する内容は逮捕されない方法です。
 
 
「ああ、あれね」とぴんと来た方は勉強がよく進んでいらっしゃいます。こいつとち狂ってんのか?とお思いになった方は、司法書士法第4条第2項を参照してみましょう。
 
 

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(資格)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。
一  司法書士試験に合格した者
二  裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの

 

裁判所事務官や検察事務官として10年務めたうえ、法務大臣の認定を受ければ、司法書士試験に合格せずとも司法書士資格を取得できるのです。漫画『ナニワ金融道』で落振県一という男が狙っていたルートでもあります。
 
真面目に司法書士試験一本で資格取得を考えている受験生にとっては、一刻も早く廃止して欲しい天下り的な制度ではありますが、安定した公務員から退職金を持って悠々自適の独立自営業というルートはなかなか魅力的ではあります。
 
そこで今回の記事では、裁判所事務官・書記官や検察事務官経由で特認司法書士となる条件について詳しく見てみます。年齢制限をクリアできる方は、こちらのルートを視野に入れてもいいかもしれません。
 
なお、実際のところは、一部の定年退職者への制度として運用されており、年々その要件は厳しくなっているとの声もあるので注意して下さい。
  

裁判所事務官

 
総合職と一般職とに区分されます。
 

裁判所事務官 総合職

 
平成29年度実施結果 総合職試験
(院卒者区分)倍率13.2(合格率7.6%、有効受験者数171名中13名合格)
(大卒程度区分)倍率27.4(合格率3.6%、有効受験者数411名中15名合格)
 
総合職試験は、院卒者と大卒者、更に「法律・経済」と「人間科学」に区分されます
 
総合職の院卒者区分の受験資格は、30歳未満であって、大学院修了あるいは修了見込みであることです。大卒程度区分の受験資格は、21歳以上30歳未満です。大卒程度区分という名称であるものの、大卒でなくても受験可能です。なお、21歳未満の大学卒業者及び卒業見込者も受験可能です。
 
総合職の裁判所事務官は、一次試験から三次試験まであります。一次試験では、多肢選択式の基礎能力試験と専門試験(憲法・民法が必須科目、刑法又は経済理論が選択科目)が課されます。二次試験では、論文試験、記述式の専門試験(憲法・民法・刑法・院卒者区分はこれらに加え民事訴訟法又は刑事訴訟法)、記述式の政策論文試験および人物試験が課されます。三次試験では、人物試験として集団討論及び個別面接が課されます。
 
 

裁判所事務官 一般職

 
一般職試験は、大卒者と高卒者とで区分されます。
 
平成29年度実施結果 一般職試験
(大卒程度区分)倍率8.8(合格率11.3%、有効受験者数8,469名中961名合格)
平成28年度実施結果 一般職試験
(高卒者区分)倍率44.6(合格率2.2%、有効受験者数2,985名中67名合格)
 
一般職の大卒程度区分の受験資格は、21歳以上30歳未満です。大卒でなくても可です。なお、21歳未満の大学卒業者及び卒業見込者、短大卒業者及び卒業見込者も可です。一般職の高卒程度区分は、高卒見込み者及び卒業後2年以内の者が受験できます。高卒程度区分という名称ではありますが、中卒でも受験資格はあります。中学卒業後2年以上5年未満の者は受験可能です。
 
一般職の裁判所事務官は、一次試験から二次試験まであります。一次試験では、多肢選択式の基礎能力試験(知能分野と知識分野)と専門試験(憲法・民法が必須科目、刑法又は経済理論が選択科目)が課されます。二次試験では、論文試験、記述式の専門試験(憲法のみ)および人物試験が課されます。
 
 

裁判所書記官

 
総合職、一般職ともに裁判所事務官として一定期間在職すると、裁判所書記官養成過程の入所試験を受けられます。この試験に合格し、研修を受講すれば裁判所書記官になることができます。裁判所事務官の総合職としての採用の場合、院卒者区分であれば筆記試験が免除され、大卒程度区分であれば筆記試験の一部が免除されます。
 

 

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法務事務官、検察事務官

 
国家公務員一般職採用試験(大卒程度・高卒者)に合格し、法務局や検察庁に官庁訪問して採用の内定を取る必要があります。
 
平成28年度実施結果
(行政区分)合格率18% 申込者数30,043名中5,419名合格
 
受験資格として大卒程度区分は21歳から29歳まで(例:平成29年度の場合、昭和62年4月2日から平成8年4月1日生まれの者)、高卒者区分は高卒見込み者及び卒業後2年以内の者が受験できます。
 
 
一次試験で、多肢選択式の基礎能力試験と専門試験があり、記述式の一般論文試験が課されます。政治学、行政学、憲法、民法等の16科目から8科目(80問中40問)を選択し、回答します。二次試験では人物試験として個別面接が課されます。
 

欠格条項

なお、裁判所事務官の総合職、一般職、法務事務官、検察事務官のそれぞれ日本国籍を有しない者及び国家公務員法第38条の規定に該当する者は受験資格がありません。
 

 

(欠格条項)
第三十八条  次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一  成年被後見人又は被保佐人
二  禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
三  懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四  人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
五  日本国憲法 施行の日以後において、日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
 

おわりに

以上、司法書士試験に合格せずに司法書士となる方法の紹介でした。こちらのルートも狭き門であることには変わりなく、いずれにせよ司法書士への道のりは険しいものというオチでした。