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司法書士受験に“司法試験”の短答式過去問は有用か?

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司法書士試験と司法試験ではいくつかの科目が重複します。そこで、司法書士受験生は、司法試験の過去問まで手を伸ばすことで、点数の上乗せを計れるかということが今回の記事の焦点です。
 
 

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まず、1年目の受験生には推奨しません。司法試験の問題にあたることで、逆に、司法書士試験の過去問等の知識が不安定となって、本試験で選択肢を判断しにくくなってしまいます。司法書士試験の過去問のみでも合格に達することは可能です。ただし、司法書士試験の過去問の肢を9割以上、理由込みで正誤を判断出来る程度までやり込んでいれば、司法試験の過去問に手を出しても問題ないでしょう。

2年目以降の受験生でもし余力があれば、司法試験の過去問の演習がある程度は有用です。理由として、2年目以降は演習問題が不足するのでそれを補えることと、司法試験の問題を解くことで司法書士試験の過去問で得た知識をより盤石にできることが挙げられます。また、司法書士受験生に一定数存在する法科大学院生や司法試験からの転向組は、司法試験の過去問を何度も解いたうえで司法書士試験に臨んでくるわけなので、彼らに水をあけられないようにするといった意味合いもあります。

 
その他の要因も絡みますが、司法試験の短答式過去問を解いたことで、私の場合は、基準点が午前午後ともに等しい点であった平成28年度から平成29年度の本試験において、午前科目は9問、午後科目は7問の正答を上乗せできました。結果、午前は33/35問、午後は34/35問でした。
 
 
 
★が多いほど有用性が高いです。
 
憲法:★★
刑法:★★
民法:★★★★★
商法:★★★★★
民訴:★★
 
以下、その理由ないし詳細です。
 
全科目、一度は私自身で解いたうえでの感想となっております。
 
なお、2017年度の司法試験過去問集のリンクを貼っていますが、2018年度のものが9月中旬に出版されるので最新版が欲しい方はそれを待って下さい。
 
 
 

憲法:★★

 
司法試験の問題では判例を問うものが主流ですが、単なる結論の正誤でなく、その理由も含めた正誤を問われる傾向が顕著です。また、判例は司法書士テキストや判例六法に掲載があるような有名部分でない箇所から出題されます。そのため、生半可に演習を行うと司法書士試験用に定着していた知識が曖昧になるだけなので推奨しません。
 
憲法は過去問が少ないので、どうしても演習がしたいという人は、出題が予想される範囲だけでもやれば十分でしょう。もっとも司法試験の過去問よりも先に行政書士の過去問に取り組む方が優先度は高いでしょう。
 
なお、平成29年の司法書士試験の憲法問題の難化により、次年度以降、司法試験に傾向を寄せてくる可能性もあり、平成28年度以前よりも司法試験問題を解く有用度は若干上がりました。なので星を一つ増やして二つにしました。

 

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刑法:★★

 
憲法よりは、司法書士試験問題との難易度の乖離は小さめです。特徴として、条文・構成要件や判例を問うだけでなく、学説の対立を問う問題が一定の比重を占めます。
 
司法書士試験の刑法については、憲法とは逆に単純な問題が近年続いています。
 
演習を行うならば、正当防衛や窃盗などの司法書士試験における頻出論点の判例問題のみこなせば十分でしょう。問題を解く重要度は憲法に劣るものの、費用対効果は高いので同じく星2つとしました。
 

 

司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集 (3) 刑法 2017年 (W(WASEDA)セミナー)

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民法:★★★★★

 
司法書士試験の水準とほぼ同程度、もしくは若干易しいと言えるかもしれません。判例を問うものが主です。予備校の答練の問題は、司法試験の問題肢をそのまま持ってきているものがよく見受けられます。また、司法試験で問われた肢が司法書士の本試験でも問われたこともあります。
 
民法は得点比率が高く記述問題との関連もあり、どれだけ万全にしても万全にし過ぎるということはありません。余力のある方には司法試験の過去問も解くことをお薦めします。
 
ただし、司法試験の過去問は債権の問題数が多すぎるので、総則・物権・親族相続のみでもよいでしょう。
 
ちなみに私の場合、オーバーワーク気味ですが、一問一答式を1周、五肢択一式を3周させました。

 

司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集 (2) 民法 2017年 (W(WASEDA)セミナー)

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商法:★★★★★

 
商法も司法書士試験の水準とほぼ同程度、もしくは若干易しいと言えるかもしれません。条文知識を問うものが主です。
 
会社法も民法と同様、どれだけ万全にしても万全にし過ぎるということはないので、余力がある方にはお薦めします。毎年一問が確実に出る割りに演習が手薄となりやすい商法総則・商行為の問題も、司法試験の過去問には豊富にあるのでよい演習となります。
 
司法書士試験の会社法の過去問は現行法に基づく平成18年以降の問題だけ解けばよいのですが、それだと問題数が少なすぎるので、それを補うという観点からも司法試験の過去問に取り組みたいところです。
 
商法は、民法の過去問数の半分程度の分量なので取り組みやすいです。私の場合、一問一答式を3周、五肢択一式を3周させました。
 
なお、当然ながら手形・小切手法は飛ばして構いません。

 

司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集 (5) 商法 2017年 (W(WASEDA)セミナー)

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民訴:★★

 
問題難易度の落差が大きいです。司法書士試験と同程度のものもあれば、格段に難しい問題もあります。条文知識というよりも条文理解を問われやすく、判例問題が一定数あります。司法書士試験と異なり、判例をベースにした事例問題が出るので、それは飛ばしてもよいでしょう。
 
民事訴訟法は、1問を争う午前の科目でなく、また記述問題との関連もないので取り組む必要性は、民法・商法に比べれば小さいです。
 
しかし、すでに司法書士試験の過去問を10周以上して飽き飽きしているレベルの人であれば、気分転換に取り組むのも一つの手です。あとは、午前だけでなく午後の択一も万全を期したい人、あるいは択一問題を瞬殺して記述問題の時間を大きく作りたい人は、取り組んでもいいかもしれません。
 
民事訴訟法を得意科目とすれば、午後はロケットスタートが切れます。

 

司法試験・予備試験 体系別短答式過去問集 (6) 民事訴訟法 2017年 (W(WASEDA)セミナー)

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一問一答形式の問題集でも可

なお、五肢択一式の問題集は勉強の負荷が大きいので、一問一答形式の問題集から始めるのもありです。

Wセミナーの考える肢シリーズか伊藤真が選んだ一問一答シリーズがお薦めです。前者は本試験の過去問のみの収録で分量が多く、後者は過去問で重要度の高いものと模試で出題された肢を抜粋して収録しており分量が少なめです。
 
司法試験・予備試験 考える肢 (2) 民法(1) 2017年 (司法試験・予備試験 短答式・肢別過去問集)

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伊藤真が選んだ短答式一問一答1000 商法―2014年法改正対応版

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