今回の記事は、平成29年度司法書士筆記試験当日の7月2日における、ブログ管理人つじの行動と心理の実況中継です。受験生にとって役に立つコンテンツであるかははなはだ疑問ですが、合格体験記でよく目にする記録であるので、それに倣いました。それではどうぞ。
【起床から会場到着まで】
朝起きてランニングをして朝食を摂り、身だしなみを調え、忘れ物のないようチェックリストを確認します。最後に、今まで問題を問いてきた答案用紙の束を目の前に置き、ここまでやってきたんだから大丈夫と言い聞かせ出発します。
会場の明治大学キャンパスまで電車を乗り継いで向かいます。
電車で向かうことにした理由は二つあって、一つは、昨年は、頭をすっきりと起こすために自転車で向かったのですが、それが逆にちょっとした興奮状態を招き、試験中に若干の冷静さを欠いてしまうことになったため、もう一つは、前年の不合格という結果を変えるため、今年は、去年の自分の行いを少しずつ変えていたためです。バタフライ・エフェクト的な発想のまじないです。よって今回は、電車で会場へ向かいます。
試験会場へ一度も行ったことがない方は、事前に一度下見に行くことをお薦めします。駅の出口はどこから降りると会場に近いか、周辺施設は何があるか、順路に信号がどのくらいあるか、駅から会場まで実際には何分くらいか等、体感しておくことで、本番に不測の事態が起きることを極力避けられるようになります。
昼食に手作りの弁当を持参していますが、ふと思い立ち、会場付近の駅前のコンビニで、糖分補給用のドーナツとアイスコーヒーを購入します。最寄りの店の混雑は受験生の誰もが予想するところですが、その予想以上に混むので、飲食物は前もって購入しておくことがやはりいいでしょう。
会場前では、各予備校が直前予想などパンフレットを配布していますが、会釈してスルーします。下手に新しい情報が入ってくると、既存の知識が揺らいで不確実なものになってしまうためです。当然ですが、択一では100%確実に正誤を判断できる肢がどれだけあるかで点数が上下します。
明治大学のキャンパス中庭の掲示板に、受験番号別に校舎が指定された用紙が貼り出されています。鞄からいちいち受験票を出していると時間もかかり紛失のリスクも増えるので、あらかじめスマホで受験票を撮影しておき、それを参照して校舎と教室を確認します。
校舎に入る際に、トイレの位置を複数確認しておきます。自分の試験教室の最寄りのトイレが混雑していたときのためにです。一方のトイレは混雑しているが、他方のトイレはガラ空きという場合もよくあります。
皆、それぞれのスタイルで試験前の時間を過ごしています。彼ら彼女らは、椅子を奪い合う敵であると同時に、同じ目標を志す同志でもあるのだなと感慨に耽ります。勇気を貰います。
教室の席につくと、まずは、午前の試験で使用する筆記具を出します。私は、シャーペン2本、鉛筆3本、消しゴム2つの布陣です。シャーペンの芯は途中で切れると鬱陶しいので、試験前日に中途半端なものを抜き出して、新しい芯に変えておきます。
午前科目の暗記事項をまとめたプリントを一通り目を通したのち、ここ1ヶ月で間違えた肢をまとめたものを確認します。
(間違えた肢をまとめた方法はこちらの記事から)
【午前科目の試験開始】
注意事項のアナウンスのあと、合図がなされ試験が始まります。模試で解いていた順番の通り、民法、刑法、会社法、最後に憲法を解きます。知識だけでなく思考を要す問題が多い憲法から解き始めるとスタートダッシュでつまずきやすいため、後回しにします。
一時間で一通り解き終えてから、マークシートを塗りつぶします。私は、設問を全て解き切った後にマークシートをまとめて塗りつぶすタイプです。問題用紙とマークシート用紙を交互に目を移していると、そのたびに集中が軽く細切れになっていくためです。塗りつぶした後は、マークの塗り間違いがないかを確認します。正答を導く知識がありながら、マークミスで点を落とすことがもっとも悔しい思いをすることになるからです。神経を研ぎ澄まし、括目してミスがないかを隈なくチェックします。
ここで一呼吸おき、残りの時間で不安な設問を再検討し、記憶と論理を捻り出し回答を最終決定していきます。民法の第19問(不当利得)、会社法の第27問(設立)、第28問(種類株式)、第31問(補欠の監査役)、憲法の第2問(財政)、第3問(条約)です。特に憲法の第3問の個数問題でエの肢の正誤をどうするかは悩みます。
前年の本試験では、見直して訂正した結果、午前で2問を落として基準点を1問割って不合格となりました。そのトラウマがあって、答えを修正するのには慎重を期します。断腸の思いで選択肢を決めきって、午前の試験は終了となります。
頭を午後の試験科目に向けて切り替えます。午後科目の基本的な暗記事項をまとめたもの、不動産登記法の申請書雛形を見返します。12時になったら小休止して、弁当を食べてトイレへ行きます。その後、択一・記述で過去に間違えた論点をまとめたものを見返します。
(登記申請書をまとめる方法はこちらの記事から)
試験問題配布から試験開始までの時間で、時間配分を再確認します。目安は、択一で1時間、記述で2時間。択一は35問なので、15分で9問、5分で3問のペース、1問につき1分半以上かかる問題は飛ばす。目標は45分、最大延長は1時間10分まで。
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【午後科目の試験開始】
開始の合図で解き始めます。択一は瞬殺出来る肢が大半で、45分で解き終えます。時間のかかる登記簿問題が出なかったのがラッキーです。浮いた時間を記述問題の検討に費やします。
まずは、不動産登記の記述問題。第三欄の申請書は楽に決まります。最近の傾向から用益権は注意していており、借地借家法22条、23条1項、2項の区別と申請書は細かく押さえていたので、ガッツポーズ。(「事業の用にのみ使用し」から事業用借地権と早合点したが、契約書が公正証書ではないため通常の賃借権設定でよかったよう…)出題予想していた信託は出ないのかと肩透かしです。賃借権の優先同意では、転抵当権者はもしや義務者に入るのかと一瞬悩みますが、いやいや常識的に考えて利害関係人だろうとの結論に落ち着きます。
第一欄の所有権の更生、移転、名変の登記申請の順番、第二欄の抵当権の債務者の住所変更を省略するか否か、登記識別情報を提供できない理由をどこまでの申請書に書くかで悩み、時間を費やします。該当箇所以外の申請書欄を答案用紙に清書します。1時間15分経ち、残り1時間になります。一旦、頭を冷却するため次の商業登記へ移ります。
商業登記は、前年と異なりそこまでタイムリーな改正情報を絡めることもなくオーソドックスで解きやすい問題です。ちょうど未出であった解散がテーマ。よく模試でも出題されるところでもあったので、解散にまつわる論点もチェックしやすく45分程度で書き切ります。あっさり過ぎてどこか大きな見落としがないか訝りましたが、不動産登記の難度が高いのでそれとの兼ね合いだろうと納得させます。
残り15分。不動産登記の空いた申請書欄をええいままよと書き切って試験終了。
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【試験終了後】
前年は試験終了後に解答速報を確認したために、即座に絶望の淵に叩き落とされました。そのため、今年は合格発表までのモラトリアムを楽しむために、試験終了後は全てを忘れて予備校の解答速報やネット上の阿鼻叫喚を一切見ないことにします。予備校の基準点予想に一喜一憂するのも徒労であるので、法務省の基準点発表まではそれも見ません。あとは野となれ山となれです。
禁酒を解き、オイスター屋で生牡蠣を啜ってシャブリを痛飲します。美味い。この一杯のために頑張ってきたような気もします。終わったという開放感にただただ浸ります。そして泥のように眠ります。
以上、本番当日の実況中継でした。