まえおき
暑いですね。こんなときは紺碧の海に繰り出し優雅にクルージングと洒落込みたいものです。
ところで、海事代理士という資格はご存知でしょうか。海の司法書士なんて呼ばれることもある資格です。
ナニワ金融道を読んだことがある方なら強烈なインパクトがあるので「あーあのおっさんの仕事ね」と思い出せるんじゃないでしょうか。
今回は、司法書士の学習で得た財産で海事代理士の資格も取れないかという趣旨の記事です。
司法書士の本試験から一段落経ったはいいが、基準点発表や合格発表まではいわゆる浮動状態であって、何も手に付かない、かと言って遊び回る気にもなれない、って方にとって、他資格の勉強はよい気分転換になるかもしれません。
ちなみに、海事代理士の試験日は、
筆記試験は平成29年9月29日(金)、口述試験は12月4日(月)で、
願書提出期間は、平成29年8月1日(火)から平成29年8月31日(木)までです。
海事代理士はどういった仕事をするのか
海事代理士は、海事代理士法に基づき他人の依頼によって、船舶登記や船舶登録、検査申請、船員に関する労務、その他海事許認可など、海事に関する行政機関への申請、届出その他の手続及びこれらの手続に関し書類の作成を代理・代行することを業とする者である。
海の司法書士というよりも、海の司法書士と行政書士と社会保険労務士を併せた存在といったところでしょうか。開業時、司法書士とのダブルライセンスであれば業務の幅が拡がっていくかもしれません。
どういった試験の内容か
平成28年のデータで、海事代理士と司法書士と行政書士とを比較してみました。
参照
海事代理士は最終合格率が高い一方、口述試験でも4分の1は落とされています。
海事代理士の試験科目
一般法律常識(概括的問題)
憲法
民法
商法(第3編「海商」のみ対象。)
海事法令(専門的問題)
国土交通省設置法
船舶法
船舶安全法
船舶のトン数の測度に関する法律
船員法
船員職業安定法
船舶職員及び小型船舶操縦者法
海上運送法
港湾運送事業法
内航海運業法
港則法
海上交通安全法
造船法
海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際港湾施設に係る部分を除く。)及びこれらの法律に基づく命令
科目数の多さに少しテンションが下がります。司法書士試験との重複は一般法律常識のみ。しかも、商法の「海商」は手付かずの受験生が大半だと思われるので、実質は憲法と民法のみです。よって、司法書士の学習で得た財産でそのまま海事代理士の資格を狙えるとは言い難いといえるでしょう。とはいっても、司法書士試験の勉強で培った、条文を読み込み理解して、問題を問いていく姿勢はそのまま活用できます。行政書士試験の学習経験者にも同じことが言えるでしょう。
海事代理士の勉強方法
司法書士と違って、海事代理士はよくも悪くも参考書がほぼありません。
『海事代理士合格マニュアル』のみを繰り返し解いて暗記するのが王道です。
ちなみに過去問は、下記リンクからダウンロードすることも可能です。興味のある方は、一度どの程度の問題か確認してみることをお薦めします。司法書士試験と異なり、海事代理士試験は、口述試験の問題と回答まで公開してます。
法令は、海事六法も併せて購入してもよいのですが値が張るので、法令データ提供システムから探してWordに貼付するなり印刷して代替してもよいでしょう。
Evernoteを使って法令集を作るのも費用がかからないのでお薦めです
各科目の勉強法は、こちらの方々のページに詳しいです
海事代理士の受験願書請求の仕方
(1)最寄りの運輸局へ取りに行く。
(2)郵送で運輸局へ請求する。
120円切手を貼ったA4の封筒に、140円切手を貼ったA4の返信用封筒を入れて、表に海事代理士願書請求と朱書きして送れば、数日後に受験願書が返送されてきます。その際、返信用封筒の宛名に自身の住所と名前を忘れないように書いて下さい。
試験内容の詳細及び願書請求先の参照はこちらの国交省のページからどうぞ
まとめ
司法書士受験生であるからといって、そこまで多大なアドバンテージがあるわけではなさそうです。
しかし、合格率が高く合格者数が少ないという点では狙い目の資格とも言えましょう。
港町での司法書士開業を考えている人は、資格取得すれば同業者に対してのよいアドバンテージになるかもしれません。